2020年8月31日月曜日

読書「ミスター・メルセデス」スティーヴン・キング

 


MERCEDESってドイツの車ですが、なんとなーーーく「MERCEDES」って文字を見ていましたら、「メルシー」「デス」って読めてしまって(笑)、フランス語と英語が混じって「ありがとう死」みたいな(≧▽≦)。

そんな意図は車名にも題名にも全く無いと思いますが(笑)、小説の中身には通じるものがあるかなと。

相変わらずのキング・フリークなのですが(笑)、初期の小説は子供たちが主人公であることが多かったように思うんですね。大人は「恐怖」に対して、見なかったことにしたり無かったことにしたり。蓋をしたり諦めたり言い訳して別の感情に摺り替えたりするのが得意ですが、

子供は「怖い!」とは思うものの、「怖いと思っている自分」をちゃんと認めて、そのうえでどうするか?を決めていると思うんですね。向き合うにしろ、とことん逃げるにしろ。

”摺り替える”ほどの選択肢をまだ知らないからこそ、「恐怖を感じている自分」から成長していく過程を描き、表現しやすかったのかなーと。「摺り替える大人たち」との対比も含めて。

その後も子供がキーパーソンになる小説も多かったのですが、キング自身が成熟していくに連れ、大人たちが中心的人物になる小説も増えていったように思います。

今回の「ミスター・メルセデス」では、定年退職後の刑事さんが中心人物です。

でっぷりとしたお腹はベルトの上に乗っかり、息切れがして苦しくなったり、アメリカの定年刑事さんが描かれる時には定番の、銃口を口の中に入れてみる夜を過ごします。

家族とも、とうの昔に離れ、仕事からも離れた失意のホッジズのところに届いた手紙は、かつてメルセデスで無差別に人々を轢き殺した犯人からでした。

メルセデスは盗難車で、本来の持ち主である女性の取り調べをしていた記憶が甦ります。女性は自ら死を選び、多くのことが謎として残っていました。

女性の遺族に会いに行き、独自に捜査を開始するホッジズは、庭の芝刈りのバイトをしてくれる聡明な黒人青年にも協力を仰ぎ、過去に捕まえることができなかった犯人に近づいていきます。。。。。

こんな感じで物語は始まりますが、今回も後半に出て来る女性の変貌ぶりが、見事に描かれていました(≧▽≦)。

エキセントリックで支配的な母親の元に育ち、神経のあちこちがショートしてしまっているような女性で、既に白髪が交じる年齢なのに、見た目は少女のような雰囲気のままで、時間が止まってしまっているような危うさ。

ホッジズに出会った事と、ある人物の「死」により、最終的には自分を押さえつけてきたもの全てから解放されるカタルシス。

続編がありそうな終わり方でしたので、こんなもんにしときます(≧▽≦)。今作はホラーというよりもサスペンスって感じでしょうかね。

海外の小説も、その国や地域特有の言い回しや比喩表現があったり、その国のその職業の人に特有の言い回しや習慣なんかも、けっこう描かれていることが多いんですよね。

海外小説を読む時には、そういう楽しみも多いですよね(*´▽`*)。

ホラー小説やパンクロックや幼虫や、人様から嫌悪されるものを好きであることが多いのですが(笑)、ホラーって、「恐怖」を「娯楽」にしたって点がすごくないですか?(≧▽≦)。

本来は見たくない・認めたくないものを娯楽にまで昇華するって、やっぱり凄いことだと思うんですよね。登場人物を通して、「あ。私もその恐怖、ある。(@ ̄□ ̄@;)!!」って気付くこともあったり。

ホラーは奥が深ーーーいヾ(@°▽°@)ノ。


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